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フルートのこと、響きのことなど 我が家に住まうフルート吹きたちが勝手気ままにおしゃべりします
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例えば、身体のバランスをとる時
周囲の景色を見て
自分が地面に垂直に立っているかどうかを認識するらしい
一本歯の下駄を履いてみるとそれが良くわかる
まず、かなり慣れた人でも目を閉じて立つ事は難しい
目を閉じる前に、充分に重心を確認し
動かなければバランスは保たれる
という所まで持っていってから徐に目を閉じる
10秒保てばたいしたものだ
サーカスでの目隠し綱渡りが高等技術という事が頷ける

見えないという事はただただ不安なのだ
近視の方なら誰でも経験があるだろう
「この角度から楽譜が見えない」とか
「光っちゃって見えない」とか
といういい訳をしてしまったり
間違えた直後、楽譜に近づいて取り繕ったことが・・・・・

私のリサイタルの相方のピアニストはやはり近視だというが
殆ど裸眼で過ごしている
リサイタルの本番の時は
大量のピアノ譜を四分の一位に小さくコピーして
めくりを少なくして来る
近視には見えるはずが無い譜面で何曲も弾くのだ
そして
「ここ、めくりが上手くいかないから・・・・」
なんて絶対に言わない

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音符を読めない人はいないと思う
楽譜を読むとなると話はずーっと深くなるので
今は、音の長さやリズムを表す音符の話

音符を読めないと言う人は
ただただ面倒くさいから読まないだけなのだ
リズムをきちんと読み取るよりも
聞き覚えたように演奏した方が手っとり早いのだ

音符を読むために音楽の才能はいらない
ルールを理解しそれに従うのみ

同じ形状のものは同じ
違う形状のものは違う
極々単純な記号の法則
どういう訳かそれを理解する事を拒否する人がいる
そして音符を読めないと言う

音符を読まないのは依頼心に他ならない
自分でやらなくても誰かが教えてくれるもん

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昨日の続き
別な方に訊いてみた
「冒頭の音が怖いと感じる時
  いい音を出したいという気持ちと
  怖いという気持ちのどちらが勝っていますか?」
「いい音を出したいと思うからこそ怖いのだと思う」
「では、本番ではどう?
  いい音を出したいより、早くその時間が過ぎますようにとか祈っていない?」
「ああ、そうかも知れません。ああ、本当にそうです」

いい音を出したいからこそ怖い
いい音を求めて理想を高く持ちたい
でも、本番でつまらない音を出してしまう自分をさらしたくない
従ってどうしても及び腰になってしまう
理想と現実の狭間で自分の能力を充分に発揮できない
本番で起こっているのはそんな葛藤だ

だからこそ、思い込みを捨て冷静に己を見つめるのだ

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先日の橘月コンサートの打ち上げで
「あなたにとって楽譜とは何ですか?」
という問いかけに対して
皆がそれぞれ考えながら答えていった事は先に記した
しかし、肝心な事を書き忘れていたようだ

本番の時、次に何をどうしたら良いか
その時々の状況から判断して、瞬時に対応しなければならない
音が合わないのはなぜか?
圧力が弱いから?
エッジが近くなってしまったから?
高音域がピアノにならないのはなぜか?
だってできないんだもん、ですまして良いのか?
リズムが合わないのはなぜか?
他の人の音が聞けないのはなぜか?

そういった事は、一切楽譜には書いていない
こうするべきだという指示はあるが
その指示に従って演奏をするためには
現在、己がどう在るかを知らなければならない
それはじっと楽譜を見つめていても、決してわからない

見つめるものは己なのだ
そのためには、楽譜から離れなければならない

練習の時には周到に隅々まで読む
本番では勇気を持って離れるのだ
そこに発見が有るはずだ

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自分を観察する事って難しいのだろうか
勿論フルートを吹いている時の自分だけれど
その時一生懸命になっている事が
どんな風に音に反映しているか
音楽としてどんな風に顕れているかなど
冷静に見る事って難しいのだろうか

まあ、人それぞれ
程度の差こそあれ、自分の事ってわからないものだ

モイーズは言う
音楽家にとって最も必要なのは観察する能力だ

まず最初に必要なことは
自分の事はわかりにくいと知る事だろう
わかりにくいからこそ慎重に観察する目や耳を随所に配らなければならない


次にする事は思いを強くしない
思い込みこそが一番の邪魔者だからだ
思い込みは私をはじめとする
「おばちゃん」と呼ばれる人種を強く支配する
「おばちゃん」は思い込みで生きていると言っても過言ではない
だからこそ、常に己を省みるのだ

奏法としての知識や音楽の知識がどれだけ深くても
観察しなければ、扉を開ける鍵は見つからない

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フルートのおばちゃん
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誕生日:
1961/04/01
職業:
しがない笛吹き改め花も実もある笛吹き
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