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フルートのこと、響きのことなど 我が家に住まうフルート吹きたちが勝手気ままにおしゃべりします
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「ただ今から15分の休憩をいただきます
  と言っただけなのに、聞き取りにくいっていわれちゃったんです。
  何がいけないんでしょう」
「アナウンサーの○○さんは聞きにくいよね
  息を吸うと胸が上がっちゃう
  あれでアナウンサー訓練したのかなぁ」
「うん、隣のスポーツキャスターの方が
  全然良い発声してるんだ」
「生まれつき天然で良い発声の人って
  いるんですよね
  あっ、私、声は自分で変えたつもりです
  笛を吹くときと同じ位、一層懸命喋ると変わってくる」
「そう、それが奏法のヒントになる」
「みんなそうやって、少しずつ変わって来たんじゃないかな」
  鼻の穴をもっと広げると響くよ」
「え〜、こう?」
「今のえ〜は良かったけれど、その後はもう閉じちゃった」
「車を運転しながら練習するの
  ほら、リラックスしてるし誰も見てないから
  思いっきりこんな風に広げられる
  広げるとこんな声
  閉じちゃうとこんな声」
「本当だ」

「先生達はもっと女の身体を勉強してください」
「後ろから脅かされた時みたいに“はっ”て息を吸えばいいなんて
  女性には絶対通じないんだから
  脅かされたら“ひぃ〜っ”てなっちゃうのが女なの」
「第二の性を読まなきゃ」

「通じないと言えば
  自分の判断って当てにならないことを学習したので
  先生の仰る“よし”が唯一の頼りなんだけど
  “よし”の状態を再現できないんです」
「翻訳の問題だね
  何が“よし”なのか受け取り側と食い違うんだね」
「日本語同士でも言葉ってのは通じない」
「シェークスピアをさ、イギリス人が原語でやるか
  或は、現代英語でやるか、それとも日本人が英語でやるか
  それとも翻訳した日本語でやるか
  それを聞くのがイギリス人か日本人か或はどちらでもないか
  全部通じ方が違うよね
  例えば、フランス語では演奏しましたというのを
  interpretateurというんだけど
  英語でいうinterpretationつまり解釈であって
  ニコレの解釈でバッハをお聴きいただきました
  なんて言い方をするんだ
  英語で演奏をplayとか使っちゃうと
  ニコレがバッハで遊びましたなんてね」
「でも、そっちの方が意味が活き活きしているような気がして
  案外好きだな」
「言葉ってのはね」
「難しいもんだね」

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師匠からお借りした
野田弘志さんの著書「リアリズム絵画入門」
東京行きのバスの道中、じっくり再読する

技術的な基礎トレーニング
これは全くそのまま音楽に当てはめられる
例えば
「線を引くこと」
「円を描くこと」
「グレースケールを作成すること」
「塗りつぶすこと」
「影を書き込むこと」
これらはリアルに描くためには絶対に必要な技術だ

更に平面で見えたことを写すだけでは写真と変わらない
もっとリアルに描くためには近づいて細部を視たい
触れてみて質感も確かめたい
できることなら中身までも視たい

こんなことをそのままフルート演奏に置き換えることで
自分に欠けていることがわかる

どんどん読んでいるうちに
「在る」ということについてもっと考えなければならないのだ
と思い至る
例えば以前、師匠が仰ったフルートを始めた理由
「そこにフルートがあったから」
「在った」
これはフルートが在ったという意味か
音楽が在ったという意味か・・・・・
ならば音楽は存在か?
音楽をするということは行為だ
音というのは現象だ
ならば音楽は?
迷路に入り込んでしまった
そのことをいつもの宴で話すと
「(出口の見つからない)地獄だね」
「そこ入っちゃったのぉ」
「そんなこと考えなくていいんだよ」
とみんな取り合ってくれない
しかし師匠は一言
「音楽は存在じゃないよ」
そうなのか・・・・・・

宗教の話
クリスチャンは本当に神を信じるのだろうか
信じる物は救われると
本当に思っているのだろうか

「先生はマタイを演奏した時に
  その歌詞を理解して演奏されましたか?」
「全然
  でも、ヨーロッパでやるとお客さんの方が
  まるで芝居でも見るように涙を流すのだ」
「そう、涙を流すシーンが在るんだけれど
  そんなこと、こちとらちっともわかっちゃいない
  でも、ただその音楽には感動しながら演奏するんだよな」

「宗教の確信に迫った文学はあったのでしょうか」
「日本人では遠藤周作?」
「そうそう、彼らのグループにはこの野田さんもいてね
  サロンを作って喧々囂々やっていたらしいよ」

この日は午前3時に起きなければならないので
宴は早めに切り上げた

そして、デンマーク戦の[3−1]での勝利
神様に感謝したくなった

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日動美術館の画家のパレットのコレクションは
見事な物だ
寄贈のために用意された物もあるようだが
本当に永年使用されたような
絵の具がうずたかく盛り上げられて
まるで、新しい生き物のようだったりする

そのパレットの中に
「美しい色はあるか
それぞれの好みの色はあると思うけれど
「美しい色」はどうだろう

パレットからキャンバスに移された時に
その色達は本領を発揮する
単独でなく、様々にブレンドされて
陰になり日なたになり、あらゆる表情を産み出すのだ
その創り出された物を見る人が美しいと思ったり
恐ろしいと思ったり、淋しいと思ったり
輝かしく神々しく感じたり・・・・・

では「美しい音はあるか

という話をKさんとして、随分考えがまとまった
充実した時間を過ごした満足感に浸りつつ
「さて、帰ろう」と
水戸芸術館の地下駐車場で待つはるぽのところへ向かう
案の定、エンジンはかからない
なんとなくそんな気がしたんだけどね

ピットに連絡をして取りに来てもらう
しかし、1時間は待つだろうな
こんな時おばちゃんは、おばちゃんの本領を発揮する
「車の不調でエンジンがかからない
 整備士を手配したが到着まで1時間はかかるので
 駐車料金の考慮を願いたい」
ちゃっかり交渉も済ませた

でもね、待ってる間にやっぱりエンジンはかかったのよ
てなわけで、はるぽまたも入院

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やっぱり楽器が多すぎる
毎日吹ききれないのだ
ピッコロや木管フルートは
滅多にかまってもらえないというとても可哀想な目にあっている

猫だったら大変だ
一生の信用を失う

そこで木管フルートを手放そうと考えている



ほぼ100年前に作られたヘインズの木管フルート
誰にでも好まれるような楽器ではないかも知れない
でも、オールドヘインズは人気だ
歌口はこんな風





現代的な音ではないかも知れない
可愛がってくれる人
連絡ください

その後、この木管ヘインズは
6月27日 嫁ぎ先が決まり(100歳にしてJune Bride?)
6月28日 嫁いで行きました 

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元東京交響楽団フルーティストで響きの会の指導者である丸山先生に
「(重心が)上がっているぞ」
と指摘する時の根拠を訊いてみた
「音を聴けばわかる」
そして上がった状態と下げた感じを
フルートを吹いて、また、声を出して実践してみせてくれた

そう。
それは全く同感で
多分おばちゃんだって同じことを示せる
「でも、上がってたっていい音がするよね」
「そう、いい音するんだよ、Sさんみたいにね
  でも、あれは唇のしなやかさで作った音なんだよ」
「同感、Mさんもいい音だけど全然下げられない」
「みんないい音するんだよ」
「うん、そうだね
  じゃあ、丸山先生は自分で下がっていると感じる
  拠り所っていうか、カン所みたいなのはある?」
「ないね。でもね、わかったことが一つだけある
 (上がってしまった状態で)
  下げようと思った時には決して下がらない」

なるほど
これも同感だ
いかにも腹が据わっている(態度がでかい?)丸山先生でさえ
こうおっしゃる
そしてやっぱり自分のことを正確に判断し
かつ、コントロールするのは難しいのだ

指導を受ける側は
とりあえず、「そう、それでよい」が頼りだ
その、OKコールをいただいた時の状態を記憶し、再現しようとする
でも、同じことをしているつもりでも
「Sよ、試しにハラと繋げてみろよ
  びっくりする程上手くなるぞ」
と言われてしまうのだ
そして、「下げようと思った時には決して下がらない」筈なのに
「そう、それでよい」
とOKコールをいただけるのは何故だろう

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プロフィール
HN:
フルートのおばちゃん
年齢:
63
性別:
女性
誕生日:
1961/04/01
職業:
しがない笛吹き改め花も実もある笛吹き
趣味:
料理 猫
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