Kちゃんのこと

中学生時代、とても影響を受けた友達がいた
Kちゃん
吹奏楽部のフルート仲間
今思うと、彼女は素晴らしく気の効いた子だった
全てにおいて私よりも高い能力を持っていた

まず頭が良かった
そしてピアノを巧みに弾き、きちんと楽譜も読めた
フルートに向いている骨格と唇を持っていた
そして色白で可愛くて男の子に人気があった

私達は毎朝自転車で通学していたが
通学路の途中に大きくカーブしながらの急な下り坂があるのだ
無雑作にかごに入れられたフルートは
いつもそこでジャンプして道に放り出された
今考えると信じられない扱いだがフルートは丈夫だった

勿論扱いが悪いのでしょっちゅうキイのバランスは狂った
Kちゃんは、誰に教わった訳でもないのに
調整ねじをちゃんとみつけてだいたい治してしまった
フェルトやコルクがとれたってすぐにつけてしまった
ワインのコルクを削ったという不格好なコルクにはさすがに笑った
初めて楽器をばらばらに分解したのもこの頃だ
バネが引っかかって元に戻すのに苦労をして冷や汗をかいたものだ

大事なコンクールや定期演奏会など
抜け目無く録音要員を確保し、全ての記録を残していた
色白で可愛い人気者のKちゃんは
男の子達へのお願いにお菓子を一つ添える事も忘れなかった

「要領が良い子」は子供の頃からこうなのだ

kちゃんはあんなにフルートに向いていたのに
音楽の才能もあったのに
専門家は目指さなかった

現在は看護士をしているらしい
さぞや素敵な大人になっているだろうな